「博物館学Ⅱ」
1,ミュージアムマネージメントとは何か
(1)博物館の量的発展
1950~60年 高度成長期
1951年 博物館法制定→博物館の新設
1953年 博物館総数( )館
1970年 博物館総数1083館
1970年代 県立博物館建設ブーム
1980年 博物館総数2078館
1980年代 県立美術館・市町村立博物館・企業の博物館建設ブーム
1990年 博物館総数2968館(内、2169館が類似施設)
1990年代 生涯学習機関・地域活性化のための役割重視・デジタルミュージアム
2002年 博物館総数( )館(内、4243館が類似施設)
1995年日本学術会議 シンポジウム「地域博物館の現在:博物館王国の実体を探る」
↓「 」と評価されるまでに量的な発展を遂げる
しかし、「 」が全体の8割近くを占める
量的には増えたが、質的に発展しているとはいえない
↓
博物館の多くは行政構造は不安定
博物館職員の多様化がなされていない
博物館の使命が不明確なまま
教育プログラム・サービスの充実がなされていない
博物館倫理の策定・博物館 がなされていない
(2)成熟の時代に必要な博物館のあり方
日本 高度成長期→成熟した社会の時代へ=「 」を重視
市民の多様な に応える利用者中心の博物館経営
市民が積極的に する博物館経営
(3)日本の博物館の諸問題
平成11年度版『博物館白書』「日本の博物館の現状と課題」
日本の博物館の諸課題
「館による が大きい」
「社会的支持基盤が弱い」
「 の質・量共に不足」
「高齢者、障害者、外国人への対応が不十分」
「国際化に立ち遅れている」
「入館者が減っている」
「体験的な展示が少ない」
「展示に楽しさがない」
「 イメージがある」
「収集・保存が十分にできない」
「各館の特色がうまく出せない」
「他施設との連携が閉鎖的である」
「市民の に応えられない」
「日常生活から遊離している」
「調査研究がおろそか」
それぞれの博物館が抱える諸課題
「新しい展示法の未導入」
「財政的に恵まれていない」
「施設・建物が手狭」
「外国の館との交流がかけている」
「体験的な展示が未導入」
「付帯設備が不十分」
「職員数の不足」
「研究機関との連携不足」
「 が減っている」
「新たな資料が入手しにくい」
「高齢者等に対する対応が不十分」
「 との連携不足」
「常設展の更新がされていない」
「行政に理解されていない」
「資料の保存不備」
「他館との交流が少ない」
「未整理の資料がたくさんある」
「市民のニーズに応えてない」
日本博物館協会「博物館の望ましいあり方」調査研究委員会
4項目を最も重視 「館による格差が大きい」
「社会的支持基盤が弱い」
「堅苦しいイメージがある」
「日常生活から遊離している」
↓
「 の時代が最盛期を迎えているときにもかかわらず、博物館においては今日的視点に立った博物館のあり方を目指す態勢づくりが遅れている側面がある。」
「本来の博物館の設置目的を再認識し、館活動の再点検を行う必要がある。」
博物館協会報告書『対話と連帯の博物館:理解への対話・行動への連帯』
「生涯学習社会における博物館サービスは、博物館側がすべてを用意し、利用者に提供するという従来形から、博物館とその利用者が価値を共に創造していく新しい形に変貌しつつあり、その重要な担い手が博物館 であり、 組織であるという考え方が一般的になってきた」
↓
「社会的支持基盤が弱いと考えるよりも、今市民側に定着しつつあるボランティア意識をいかに博物館に適合する形に変えて導入するかが問題であろう」
(4)日本の博物館の現状と課題
「 の下」での運営
堅苦しい雰囲気
一定の枠組みに人々を追い込み、知識を詰め込む
専門家向きの展示
学芸員の が高く、利用者へのサービス精神に欠ける
博物館を企画・運営するプロデューサーがいない
施設の大きさや収蔵品の点数を自慢する傾向がある。
施設にお金をかけるが運営資金に予算を投入しない。
利用者側→情報過多で十分な知識を持つ→より好奇心を満たしてくれる魅力ある博物館を期待している
地域社会→博物館を中心とした町づくり→ に期待している
日本の博物館は知的に成熟してきた社会に対応していない。 ↓ 利用者がはなれていく ↓ 予算がつかない ↓ 資料収集・調査研究・展示教育ができない
(5)欧米の博物館の新潮流
米国
米国博物館協会(Amerikan Association of Museumus)
1992『卓越と公正:教育と博物館の公共性(Excellence and Equity:Education and the Public Dimension of Museums』
「博物館は と教育のための施設であるべき」
従来 博物館は膨大な資料と情報を蓄積して、 の高い主張を表明することに力点を置いていた。
21世紀 資料の情報の蓄積による知的厳密性と学問的卓越性を向上させつつ、その知的財産を広意義の教育を通して多様な市民に公平に提供する公共サービスに力を入れるべき→多様な市民のニーズに積極的に応える「 施設」
英国
博物館協会(The Museum Association)
1997年D.アンダーソン『共有の財産:英国における博物館と学習(A Common Wealth: Museums and Learning in the United Kingdom)』
博物館は であり、教育があらゆる博物館活動の中心にあるべき
↓
「博物館が社会的に必要不可欠な存在である続けるためには、 に力を入れ、公共サービス施設としての役割を強化しなければならない」
英米の提言から
↓
博物館を公共のサービス施設と位置づけ、広意義の教育を通して、社会に奉仕すべき
↓
収入の増加 市民のニーズの高まりに対し、博物館が所有する卓越した財産を
自由時間の増大 「 」と位置づけ、単なるモノの陳列・保存を脱して
好奇心の高まり ニーズに応える公共サービス機能を強化し、博物館を社会に
メディアの発達 として認知してもらい、生き残りをはかる戦略
↓
「博物館経営(ミュージアムマネージメント)」の導入が不可欠
(6)ミュージアムマネージメント
経営とは「営利組織におけるヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を合理的・効率的に組み合わせてより多くの利潤を生み出すこと」
↓非営利団体=利潤の追求はが第一義ではない
博物館=「利用者の の創出」「市民生活の への貢献」が第一義である
↓
ミュージアムマネージメントとは 「博物館が有するヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を合理的・効率的に 組み合わせて利用者の満足を創出し、市民生活の豊かさへの貢献などをはかること」
*日本においては「利用者の満足を創出」「市民生活の豊かさへの貢献」を目的として博物館資源を組み合わせるという意味でのマネージメントという意識が不足していた。
2,博物館の組織
博物館は「 」(組織と職員)「 」(資料)「 」(施設)で構成されている。これらを効率的に運営するためには、その内容をしらなければならない。
(1)博物館の組織
組織と職員のあり方は設置形態(国立、公立、私立) 存在形態( 博物館、相当施設、類似施設) によって異なる
規模
しかし、一般的には館内組織と館外組織に分けられる
館内組織 館長、 部門、事務部門
館外組織 博物館協議会、評議員会、評価委員会、後援会・協力会
館内組織
<職員> 館長、学芸部門、事務部門
大規模博物館→副館長をおいたり、各部門を細分化する
小規模博物館→館長、学芸員、事務員の3人だけの場合もある
・館長の役割
博物館法第4条「博物館に、館長を置く」
第2項「館長は、館務を掌理し、所属職員を監督して、博物館の任務の達成につとめる」
↓
館長は博物館の代表
2002年度 専任の館長を置く博物館は全体の32.6%
登録博物館・相当施設・・・49.1%
類似施設・・・28.8%
専任の館長がいない→本来の館長の責任が果たせない
館長職が「 職」とされ、博物館勤務の経験に乏しいひとがなる場合がある
館長には博物館の「経験が豊富」でなおかつ「 」が問われる
欧米では館長は公募によって選ばれるところもある
館長がながく在籍し重要な仕事をこなす
T・ホーヴィング(元メトロポリタン美術館長)「美術館の運営もGMの経営も変わりはない」
・学芸員の役割
博物館法第4条第3項「博物館に専門的職員として学芸員を置く」
登録博物館になるための要件
博物館法第12条第2項「第2条第1項で規定する目的を達成するために必要な学芸員その他の職員を有すること」
博物館相当施設
博物館法施行規則第19条第3号「学芸員に相当する職員がいること」
博物館類似施設→( )を置くことが義務づけられていない
2002年度 専任の学芸員数は一館あたり・・・0.88人
登録博物館・相当施設・・・2.87人
類似施設・・・0.35人
*学芸員が少ない
公立博物館の学芸員数
1973 「公立博物館の設置及び運営に関する基準」
第12条「都道府県及び指定都市の設置する博物館には、17人以上の学芸員又は学芸員補を置くものとし、市(指定都市を除く)町村の設置する博物館には、6人以上の学芸員又は学芸員補を置くものとする」→学芸員の定数に関する望ましい基準
↓
1999 改正
第12条「博物館には、学芸員を置き、博物館の規模及び活動状況に応じて学芸員の数を増加するように努めるものとする」→地方分権推進と連動し地域によって決める
学芸員の仕事
博物館法第4条4項「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる」
収集・保管・研究などのほか展示・( )としての仕事もある
↓
多面的かつ複合的な能力が必要
学芸員は人数が少ないので、これらの仕事のほか事務的な仕事もこなす=「 」的扱いを受けている→ 「学芸員」は「雑芸員」
欧米諸国 博物館専門職の分化 キュレーター(curator)キーパー(keeper)
→専門領域における調査研究をおこなう
資料の登録・管理→レジストラー(registrar)
保存・修復→コンサベーター(conservator)・レストアラー(restorer)
博物館教育→エデュケーター(educator)
博物館評価→エバリュエーター(evaluator)
東京都歴史文化財団 (庭園美術館・江戸東京博物館・写真美術館・現代美術館・東京都美術館などを運営)
自立的な経営を確保するため、収益・コストを意識した経営感覚と文化施設運営に必要な専門性を備えた人材の確保・育成・活用→「専門職リーダー」
・事務系・技術系職員の役割
庶務、会計、設備の補修点検、展示場内の監視、施設の警備、温湿度の点検、清掃、案内、ミュージアムショップ、電話交換、運転業務など多岐にわたる
2002年度事務系職員の1館あたりの役割
2002年度 専任の事務系職員数は一館あたり・・・3.27人
登録博物館・相当施設・・・6.86人
類似施設・・・2.33人
学芸員1人に対し事務系職員( 人)の割合
学芸員の補助→技術系職員・学芸庶務
資料の修理保全、資料作成、台帳の作成、展示品の点検、( )、事業計画や報告書の案文作成、研究会・講演会などの記録、関連情報の整理、学芸業務の予算編成
警備・監視、施設の保守点検、清掃→外部の会社に委託する場合が多い
→直接入館者に接するので人材を考慮する、むやみに資料説明をさせない
ほこり、ゴミなどは資料にとっても大敵なので清掃には注意を払う
博物館にも司書が必要
職員数
2002年度 1館平均 約8人 登録博物館・相当施設 約14.7人
類似施設 6人
↓
( )
(フランス ポンピドゥーセンターの学芸関係スタッフ約1200人)
博物館教育・広報・情報サービスなどに携わる部門などの新設が必要
<意志決定機関> 理事会
法人立の博物館・・・理事会
理事会=法人を代表すると共に事務執行の決定権を持つ
民法第52条1項「法人には1人または数人の理事を置くことを要す」
*多くの場合、理事長・専務理事・常務理事・その他の理事が置かれており、館長は理事に選任され、理事会の一員として博物館運営の重要事項決定に加わる
館外組織
・博物館協議会
(役割)博物館の運営に関して館長の諮問に応じると共に館長に対して意見を述べる機関
公立博物館 博物館法第20条「公立博物館に、博物館協議会を置くことができる」
学校教育・社会教育の関係者・学識経験者のなかから、当該博物館の設置する地方公共団体の教育委員会が任命
↓
諮問事項について調査・審議を行い、意見を答申する。法的には館長は答申内容に拘束されないが、できる限り答申を尊重しなければならない
・評議員会
社団法人・財団法人が設置主体となった法人立博物館で規模が大きな博物館に設置される場合がある
(役割)法的に必置の機関とされる理事会の諮問に応えて、博物館運営や特定事業の運営監督などを行う。ただし、民法上の規定はなく、法的権限や責任を有さない。
↓
評議員会の機能は法人の定款や寄付行為など定められた範囲内に限定
↓
理事会の権限を侵したりできない
・評価委員会
博物館活動に関する各種の評価委員会が外部の学識経験者などを構成員として設置される( )・・・博物館が収集した資料について外部の学識経験者がその価値を 客観的に評価する
その他、博物館活動すべてにわたって外部の専門家で構成される評価委員会が設置されるべきであるが、日本ではまだその段階にない。
・後援会・協力会
(役割)博物館活動や事業運営などを支援する
教育活動への援助、「 」への協力
高額な資料の購入をまかなう組織として活動している場合もある
・友の会
後援会・協力会の一部であるが、博物館を理解し、博物館活動とより深く関わる。
安定的な利用者増加対策の一つであり、教育事業の支援団体またはその対象グループにとどまらず博物館全般への協力支援団体として育成していく
↓
博物館と( )は二人三脚の関係
ボランティア
1995 阪神淡路大震災 ボランティアの活躍→「 」
1999 NPO法(特定非営利活動促進法)が制定
↓
博物館でもボランティアの導入が増えつつある
2002年度 博物館全体の15.9%がボランティアを導入している
1993年活動調査
(目的)
博物館活性化 22%
(生涯学習) 21%
地域住民の知識と経験の活用 15%
地域との結びつき強化 14%
職員不足のため 11%
(活動内容)
学芸業務補助 73% (学習活動指導・助言・援助、展示解説、資料整理など)
博物館付帯業務 42% (イベント業務、友の会、広報活動など)
来館者接遇補助 40% (展示監視、場内整理、受付業務)
環境整備 22% (清掃、館内美化)
導入条件の明確化
受け入れ基準(目的、年齢、資格、居住地域、経費、保険など)
ボランティア登録のあり方
活動の内容
組織内でのボランティアの位置づけ
ボランティア組織
研修事業
ボランティアの育成は積極的に行い、資質の向上に勤める
ボランティア活動が ボランティア
博物館 三者にメリットがあるようにする
博物館利用者
生涯学習の場として、また学習成果の還元の場として、人々の余暇を活用する場としてボランティア活動がある。
ボランティアはお客さんではなく、一緒に博物館活動を行う仲間である。
*博物館側・ボランティア側両方が認識しなくてはならない
1,日本における学芸員育成
(1)学芸員制度
戦前の日本→専門職員に関する規定がなかった
戦後 博物館法=欧米諸国を参考→専門職員として( )制度を創設
学芸員は国家資格
規定の資格試験もしくは大学において必要な単位を修得することによって有資格者となる。ただし、学芸員資格の取得はただちに学芸員になれることを保証していない。
いずれかの( )において学芸員として任命されることが必要
(2)取得方法
博物館法第五条①次の各号の一に該当するものは、学芸員となる資格を有する。
一、( )の学位を有する者で、大学において文部科学省令で定める博物館に関する科目の単位を修得したもの
二、大学に二年以上在学し、前号の博物館に関する科目の単位を含めて( )単位以上を修得した者で、三年以上学芸員補の職にあったもの
三、文部科学大臣が、文部科学省令で定めるところにより、前各号に掲げる者と同等以上の学力および経験を有すると認めた者
②前項第二号の学芸員補の職には、博物館の事業に類する事業を行う施設における職で、学芸員補の職に相当する職又はこれと同等以上の職として文部科学大臣が指定するものを含むものとする
(学芸員補の資格)
博物館法第六条学校教育法第56条の規定により大学に入学することのできる者は、学芸員補となる資格を有する
↓
1,大学の学芸員養成過程で資格を取得
2,国の資格認定試験に合格
3,国立教育政策研究所(社会教育実践研究センター)の博物館職員講習の受講によって 資格認定試験免除を得る
(3)博物館に関する科目
博物館法施行規則第1条博物館法第5条第1項第1号の規定により大学において修得すべ
き博物館に関する科目の単位は、次のように掲げるものとする
科 目 単位数
( ) 1
博物館概論 2
博物館経営論 1
博物館資料論 2
博物館情報論 1
博物館実習 3
( ) 1
( ) 1
備考
一博物館概論、博物館経営論、博物館資料論及び博物館情報論の単位は、これらの科目の内容を統合した科目である博物館学の単位をもって替えることができる。ただし、当該博物館学の単位数は、6を下まわることはできないものとする。
二博物館経営論、博物館資料論及び博物館情報論の単位は、これらの科目の内容を統合した科目である博物館学各論の単位をもって替えることができる。ただし、当該博物館各論の単位数は、4を下まわることはできないものとする。
三博物館実習は、博物館又は法第29条の規定に基づき文部科学大臣若しくは都道府県の教育委員会指定した博物館に相当する施設における実習により修得するものとする。
四博物館実習の単位数には、大学における博物館実習に係わる事前及び事後の指導の1単位を含むものとする
(4)博物館学の各論概要
①博物館概論 博物館に関する( )の習得をはかることがねらい。
博物館の目的と機能、博物館の歴史、博物館の現状、博物館倫理、博物館関係法規、生涯学習と博物館など
②博物館経営論 博物館経営および博物館における教育普及活動について理解を図る
博物館行財政制度、ミュージアムマネージメント、博物館の職員及び施 設など
③博物館資料論 博物館資料の収集・整理保管・展示などに関する理論や方法についての 知識・技術の習得をはかる
博物館資料の収集、整理保管、保存、展示、調査研究活動の意義など
④博物館情報論 博物館における情報の意義と( )について理解する
情報の意義、情報提供と活用方法、情報機器など
2,日本の大学における学芸員養成
(1)博物館学講座の増加
学芸員資格の取得→大学の( )がもっともおおい。
1986 学芸員課程を開講している大学
111大学
1996 学芸員課程を開講している大学
239大学 国立56、公立15、私立144、私立通信教育2、公立短期大学1、私立短期大学21
急激に増加
特に文学部での開講が多い
(2)資格取得者の推移
1991年5845人
1995年( )人
資格取得者は年々増えている。
しかし、学芸員になったものは全体の1%未満
日本の学芸員養成過程では( 系)・考古系・( 系)の3分野が博物館学を修得する学生が多い。→伝統的にこれらに関する資料をあつかうことが多い。
↓
欧米では博物館学科をもうける大学があり、( )として、独立している。
利用者サイドにたった新しい博物館学が求められている。
(3)認定試験による資格取得
博物館施行規則 第5条
①学士の称号を有するもの
②大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者で、3年以上学芸員補の職にあった者
③( 員)の普通免許状を有し、3年以上教育職員の職にあった者
④5年以上( )の職にあった者
⑤その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者
↓
試験認定の資格を持つ
無試験認定
博物館施行法第9条
①学位規則による( )または博士の学位を有する者
②大学において博物館に関する科目に関し2年以上教授・助教授または講師の職にあった者
③( )年以上学芸員補の職にあったもので都道府県の教育委員会の推薦する者
④その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者
↓
学識及び業績を審査して認定の審査を行う
3,フランスにおける専門職の養成
コンセルヴァーテル(保存官)制度
1882ルーブル美術館敷地内にルーブル学院が創設
ルーブル学院 美術史や考古学や博物館学を専門とする大学
全世界から3000人ほどの学生が在籍
↓
ルーブル学院で学ぶことによって国家試験の受験主格を取得できる
コンセルヴァーテルや博物館教育職員の資格を得る
↓
博物館専門職の国家試験に合格すれば国立博物館への就職が保証されている
毎年10人ほどが合格←競争率十数倍=大変厳しい倍率で難しい
↓
1990文化財保存監督官制度の導入
ミッテラン大統領による改革
( )=行政にも学術にも精通した文化財の専門官
↓
国立文化財学院で養成される
年間二十人~三十人しか受け入れないエリートコース
十八ヶ月のうちに修得させる
1991年受験者500人→合格者31人
1992年受験者683人→合格者11人
国の管理のもと少数のエリートが博物館運営をおこなう。
4,英国における専門職の養成
1889 ( )が創設
↓協会が中心となって
1932 博物館専門職員の資格制度と養成制度の発展
M.A.D(Museums Association Diploma)を認定
↓
英国で博物館に就職するときの必要条件
年1回実施される1次試験(3日間)と2次試験(口頭試問)に合格する必要がある
1次試験受験資格
すでに博物館に勤務→研修コースを修了していること
博物館学専攻の大学卒業者→1年以上博物館で勤務していること
大学生→MDAコースを修了していること
など
2次試験受験資格
3年以上博物館で勤務
博物館で15ヶ月以上専門家の指導を受ける
大学において充実した教育が行われる
5,米国における専門職の養成
( )は実施されていない=国は博物館専門職員養成に関与していない
各大学における博物館学の教育・研究体制が充実
↓
世界で最も優れた専門職の養成システムが確立
↓
各博物館でそれぞれの基準をきめて専門職員を採用
ニューヨーク大学
博物館概論Ⅰ・Ⅱ
博物館の諸問題
諸民族の現代美術と博物館
非西洋美術の展示と鑑定
博物館と写真
博物館教育
資料管理と博物館におけるコンピュータ活用
博物館長論
博物館におけるフィルムとビデオ
物質文化研究
コミュニケーションとPR
都市における遺跡保存
博物館とメディア
ミュージアム・ドキュメンテーション
資料保存論
ニューヨークの歴史遺産
展示計画と展示デザイン
博物館と法律
博物館実習
博物館実習のための演習
様々な団体や機関が専門職員養成のプログラムを実施
ボランティア養成のシステムも確立
博物館館長 ビジネススクールで経営学の( )を取得する事例が増えている
↓
博物館の財政を安定させることが館長の仕事
6,日本における専門職養成の課題
学芸員資格 年間9000人が資格取得→ほとんどが博物館で働くことがない
↓
資格制度の見直しが必要
大学において博物館学科など専門の養成システムが必要
博物館の行財政制度
1,博物館に関連する法律
(1)教育基本法 第2次世界大戦後
( )と平和主義にもとづいた諸制度の構築
1947教育基本法
教育勅語にかわって公布
「国民の名において民主主義教育の理念と目的を宣言し、教育を国民自らの者とする教育権利宣言」
第7条「国及び地方公共団体は、図書館、 、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない」 ↓
博物館は( )と位置づけられ、国や地方公共団体は設置に努める
1949社会教育法
社会教育→「国民の間で広く行われる な教育や文化やスポーツ活動」
↓
社会教育の自由の保障と振興のために国及び地方公共団体がなすべき任務を規定
第9条「図書館及び博物館は、 のための機関とする」
↓
必要な事項は別に法律をもって定める→1951博物館法
関連法
1949( )金堂炎上 1950文化財保護法「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」
国立博物館3館(東京・京都・ )は文化財保護委員会(後の文化庁)の所管に組み込まれる
1951博物館法
博物館の目的と機能
博物館の登録制度
博物館の 所管の確立
専門的職員の資格とその育成方法
公立博物館における入場料金無料の原則
公立博物館に対する補助金の交付
市立博物館に対する免税措置
1952博物館施行令
国が援助を行う「博物館の施設、設備に要する経費の範囲」が明確化
1955博物館施行規則
博物館法の諸規定( において履修すべき博物館科目の単位、学芸員資格の取得法、博物館相当施設の指定方法など)
文部省告示、社会教育局長通達および通知
1952博物館の登録審査基準要項について(社会教育局長通達)
1955学芸員の職に相当する職等の指定について(文部省告示)
1955学芸員の試験認定の試験科目に相当する科目の試験を免除する講習等の指定(文部省告示)
1971博物館に相当する施設の指定について(社会教育局長通知)
1990博物館の整備・運営のあり方について(社会教育審議会答申)
1997私立博物館における青少年に対する学習機会の充実に関する基準(文部省告示)
2,博物館の行政制度
(1)国立の博物館
国立の博物館→原則として の対象外=「博物館法にしばられない博物館」
博物館法とはことなる法律によって設置されているため
1950文化財保護法制定
国立博物館3館は文化財保護委員会(後の文化庁)の所管とされた
国立美術館(国立近代美術館、国立西洋美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館など)も文化財保護法にもとづいている
↓
2000独立行政法人化 国立博物館→独立行政法人国立博物館→独立行政法人国立博物館法
国立美術館→独立行政法人国立美術館→独立行政法人国立美術館法
国立民族学博物館 大学共同利用期間→国立大学設置法
国立歴史民俗博物館 ↓
2004大学共同利用機関法人人間文化研究機構(国立民族学博物館・国立歴史民俗博物館・国文学研究資料館・国際日本文化研究センター・総合地球環境学研究所)
↑
法的根拠 国立大学法人法
2007 独立行政法人国立博物館→「独立行政法人 」
逓信博物館(独立行政法人郵政総合研究所)
産業安全技術館(中央労働災害防止協会安全衛生情報センター)
お札と切手の博物館(独立行政法人国立印刷局)
三の丸尚蔵館(宮内庁)
憲政記念館(衆議院)
造幣博物館(独立行政法人造幣局)
各省庁および関連団体の博物館も独自の運営
博物館法の目的 社会教育機関としての公立博物館や私立博物館の設置促進
↑
設置基準や規模を大きく越えている国立博物館には博物館法の適用は不要と思われた
(2)公立の博物館
公立博物館( 、市町村が設立し、運営)
社会教育機関に位置づけられ各教育委員会の所管
博物館法に基づいて登録申請を都道府県教育委員会提出→審査→( )に登録
→登録博物館=国の( )を受け取ることができる
都道府県の知事部局で設置した博物館は登録申請ができない
1973文部省告示「公立博物館の設置及び運営に関する基準」
設置の内容と規模
資料の内容と規模 具体的な設置基準が定められた
教育活動の内容
学芸員の業務分担や役割
「都道府県および政令指定都市の設置する博物館には、17人以上の学芸員または学芸員補をおくものとし、市(指定都市を除く)町村の設置する博物館には、6人以上の学芸員または学芸員補を置くものとする」
↓法的拘束力は持たない
これ以後に設置された博物館はおおむねこの基準を満たしている。
しかし、具体的な業務分担や役割などが明確にされた学芸員の数については人員を確保できていない。
↓
1999告示の改正 「博物館には、学芸員を置き、博物館の規模および活動状況に応じて学芸員の数を増加するように努めるものとする」
(3)私立の博物館
私立博物館=法人や団体、会社、個人が設立した博物館
1995 財団法人34%、会社22%、宗教法人19%、個人17%、学校法人4%、社団法人2%、組合2%
私立博物館の内博物館法の適応を受けるのは
民法34条の法人、宗教法人、制令で定める法人が設置する博物館に限られる
民法34条「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他交易に関する社団又は財団にして利益を目的とせざるもの」→( )
登録博物館として認められれば所得税、相続税、固定資産税などの( )の優遇措置をうけられる。
3,博物館の財政制度
(1)博物館の予算
予算とは一定の会計年度の収入と支出を前もって見積もること
4月1日から3月31日までを会計年度とすることが日本では一般的
収入(歳入)
国公立博物館 国や地方公共団体からの( )
( )
特別展観覧料
図録の売り上げ
補助金・協賛金
展示室使用料
施設使用料
ミュージアムショップ・レストランの売り上げ
私立博物館 財団基金の利子
入館料
特別展観覧料
図録の売り上げ
施設使用料
ミュージアムショップ・レストランの売り上げ
( )
協賛金
補助金
支出(歳出)
( )
管理運営費 旅費
会議費
施設整備費
備品購入費 (資料購入・資料修復・図書購入・展示用 備品購入・視聴覚備品購入・収蔵庫備品購入)
工事請負費 (施設の改修工事・設備の改修など)
博物館事業費 展示事業
広報事業
出版事業
教育学習事業
調査研究事業
(2)国による補助金制度
文部科学省・文化庁=博物館法に基づいて登録博物館に を交付
社会教育施設整備費補助金など
↓
1996年度末に廃止
文化庁 歴史民俗資料館建設費国庫補助金制度
↓
1993年度に廃止
学芸員の資質向上・博物館サービスの充実・機能の高度化・私立博物館の運営基盤の充実のための補助金制度が作られている
学芸員の資質向上 博物館学芸員等専門研修事業
社会教育研修支援事業
博物館サービスの充実 科学系博物館活用ネットワーク推進事業
地域社会教育活動総合事業
博物館機能の高度化 学習支援活動支援設備整備費
私立博物館運営基盤充実 税制上の支援措置 低金利融資
「 (施設)整備支援」から「 (博物館活動)促進支援」へと転換
(3)博物館財政の現状
地方公共団体→博物館予算の削減
博物館法第23条「公立博物館は、 その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」
↓現実には約7割の公立博物館で入場料を徴収
第23条但し書き「但し、博物館の維持運営のためやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」
↓
入館料収入は歳入予算の %にしか過ぎない(私立博物館では52%)
予算不足が最も重大な問題
↓博物館の運営資金が捻出できずに休館・廃館に追い込まれる。
寄付金・交付金の増額
自助努力
(4)博物館の自助努力
収入増を図るため各種事業を積極的に展開することが不可欠
常設展・特別展・企画展・移動展などの充実化
講演会・ワークショップ
生涯学習プログラム
ミュージアムショップの多様化
ミュージアム の開発
マーケッティング体制の確立
各種団体との連携
広報事業の充実
米国 利用者に対するサービスシステムの充実
1955 ミュージアム・ストア協会
ミュージアムグッズとミュージアムサービスの開発と販売の促進
マーケッティングのための戦略構築と体制化
↓
自助努力による博物館財政の安定化
英国・米国 博物館が有する資源を活用
博物館資源の商品化 ミュージアムグッズの開発
所蔵資料を用いた研究開発によって新商品を生み出す
植物標本から薬や化粧品
美術品からデザインやファッション
↓
「 産業」を起こす
博物館自体が交付金や補助金に頼らないで、自助努力する必要があり、そのためには「利用者を待つ」博物館から「利用者を増やす」博物館へと変わらなくてはならない。
5,生涯学習と博物館
(1)博物館と生涯学習
博物館の利用者
親子連れ
好事家 多様な世代の利用者が訪れる。
団体 ↓
学生 最近の傾向=女性、高齢者、観光客
老人
博物館ブーム= ・企業がこぞって博物館を建設
↓バブルの崩壊
新規博物館数の停滞
既存博物館予算削減、財団化・第3セクター化
↓
博物館改革の必要性
学校教育→「 」からの脱却→総合学習→博物館の位置づけの変化
遠足・修学旅行の行き先→新たな学習の場
↓
「 」
児童・生徒と先生に受け入れられるために
所蔵資料・情報の公開
体験型・参加型のプログラム
学習プログラムの作成
↓
欧米ではエデュケーション活動(博物館教育)の一部として位置づけられている
2,博物館の教育活動
教育活動の3形態
①展示関連
展示本体、 、学習コーナー、ワークショップ、移動博物館
②メディア(印刷物)関係
展示案内書、展示ワークシート、 、テレビ・新聞
③教育関連
講演会、講習会、映画会、見学会、資料貸出
展示関連=教育的配慮があって意味をなすもの
常設展示は対象が「一般市民」である。
ある対象(たとえば小学生)に限定→展示解説、ワークショップ、移動展示などが効果的
メディア関連=広報・研究成果の発表媒体
利用者にとっては貴重な情報源→教育効果のある番組を作成することが必要
教育事業
一般対象=講演会、映画会
特定対象=夏休み子供体験教室
その他=博物館キットの貸出、インターネットの活用→博学連携授業
公民館、文化会館などでも可能な事業→博物館の資料、人材を活用
3,博物館教育の黎明と歴史
日本の博物館 明治以前 寺社の重要な調度品や仏像など宝物を保管する蔵や倉庫としての意味合いが強い→「 」
正倉院 8世紀頃 聖武天皇所蔵品や東大寺開眼供養の道具を保管してきた蔵
↓
寺の宝物→日本文化のタイムカプセル=一般の人は入ることができない
市民公開=秘仏公開や出開帳のときだけ
神社 祭礼や行事に山車が披露されたり、修復されたりする
↓
子供たちの参加が多く、社会教育の場でもあった
博物館という概念→明治時代になってから
福沢諭吉1866『 』1868『西洋事情外編』「人民の教育や開花」に必要な施設であると博物館を紹介
富国強兵→産業や農業の近代化が政府の重点
東京を中心として各地で物産会・産業博覧会が行われる
パリなど外国で博覧会に出展
1871日本で初めての博物館=文部省博物館 「 」
1875ウイーン万国博覧会の経験を基に内務省博物館が創設
↓
1886 宮内庁に移管→「 」
皇室や皇室ゆかりの寺社が所有する美術品の保存・公開が目的
多くの博物館→一部の支配社会層の特権的施設
4,学習の場としての博物館
第2次世界大戦後
荒廃した社会や文化を立て直す→博物館
1947国立博物館官制公布 帝室博物館→文部省に移管
政府による文化行政や教育制度の改革→博物館は国民の博物館・社会教育の博物館として位置づけ
1949社会教育法
1951博物館法
資料を収集・保管→その成果を展示として公開
1960各地に博物館が設立
地域・学校との関わり→社会教育が重視
平成 生涯学習や国民の余暇への対応
経済成長 国民の文化の向上 海外旅行やインターネットなど情報化社会の
余暇の増大 到来
↓
国際化
社会
環境問題
↓
学校教育だけで対応するべきものではない
↓
生涯を通して個人や家庭、社会で学習すべき課題→博物館の課題となってきた
中央教育審議会提言
生涯学習とは「自分を育て続ける」
自己の充実
生活の向上
自己に適した手段・方法で生涯を通して自発的におこなう学習
↓
それを助ける施設を総合的に整備・充実すべき
博物館の姿勢
①全体として にどのように適合しているか
日常的な博物館教育プログラム
常設展・特別展・講演会・映画会・講座・出版
②個性化教育にいかに対応しているか
個人の「 の自由」を保証するプログラムや素材の提供
体験学習・友の会活動・創作活動・資料の貸出・情報発信
これらの博物館教育活動を効果的に行うためには他の博物館・図書館・公民館・学校などとの連携が必要
↓
行政中心になりがち→市民団体・ 組織などとの交流
(5)博物館と学校教育
「教育とは何か」
江戸時代→寺子屋 「読み・書き・そろばん」
教育は文字(教科書)や言葉によって行われた
↓
現代の教育制度へと受け継がれている= 中心主義
教育とは先人の社会や知恵をいかに身につけるて生かせるか
↓
学校教育・家庭教育・社会教育という教育形態でいろいろな試みがなされるべき
学校 いろいろな体験型教育が模索されている→ の活用
家庭 週休2日制→家庭教育・リクリエーションとして→博物館の活用
実体
1996大阪府教育委員会が小学校・高校の先生への博物館利用のアンケート
回答
受験の問題があり、高校は高学年になるほど博物館利用の時間が無くなる
授業の一環としてより や社会見学など課外授業に利用
事前調査とワークシートなどをつくる必要がある
展示がわからない→根本的な課題
博物館教育とは学校教育のように特定の教科書があるものではない
↓
学習者が「自ら学ぶ」ということに素材を提供すること
提供された素材や情報からその背後にある文化を学ぶ
しかし
学習者がそれだけで文化を理解できるか→疑問
①1回や2回来ただけで子供たちは博物館の訴えたい内容を理解できるか
②博物館をどのように利用して良いのか子供だけでなく先生も理解していない
(6)将来への課題
「 」 空き教室を利用して学校博物館がつくられつつある
子供たちが自ら資料を整理・展示する→自らが学芸員となれる
↓
博物館への理解を深める
学校博物館設立へ協力することが必要
教材・資料・プログラムの提供
インターネットを利用したホームページ上に学校博物館を作成
学校博物館は学芸員の就職先を造ることにもなる
↓
学校博物館は学校教育・社会教育のみならず教育全体の発展に寄与する
1.博物館における教育プログラム
(1)博物館活動と教育プログラム
従来、博物館はあっても良い存在=( 良い)存在
↓
博物館は市民のもの=無くてはならない存在
一人ひとりの市民が積極的に関わることのできる博物館
友の会
( ) NPO法人として博物館を側面から支える
博物館 学習活動の新たな取り組み
科学館・動植物園の教育活動
博物館における市民を対象とした普及活動・情報公開
国立科学博物館
学校教育との連携 教育担当職員の配置
ボランティア制度導入
「 館」「サイエンスシアター」など( 施設)の導入 ↓しかし
多くの博物館は( 型)の活動→せいぜい余暇の利用か遠足程度の利用
↓
博物館の利用学を確立することが重要
博物館の情報公開→社会や学校が博物館の情報を積極的に活用できるシステムの構築が必要
(2)教育資料と五感での学習
博物館=多様な資料を有している
澁澤敬三「博物館という施設は、集められた資料をその価値を損なうことなく永久に保存し後世に伝えねばならない。一方で、資料はすべての人々に容易に使ってもらわなくてはならない」
資料の分類 研究資料
展示資料
資料
資料
一つの資料はその使い方によって複数に分類される。
↓
教育活動の重要性を考えると教育資料が重要となる
教育資料→学校や公民館など教育の場で活用することが前提
↓
ある程度資料の損傷は覚悟しなければならない
↓
教育活動に利用したくても保存上の問題で利用できない
教育資料として新たに資料を収集する
一次資料(実物資料)に代わって二次資料( ・映像・画像・バーチャル)を利用する
博物館の学習形態=五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)で体験する
↓
二次資料はあくまで一次資料の補助的なものであり、二次資料のみで学習することはできない。
(3)国立民族学博物館での取り組み
国立民族学博物館
生涯学習の取り組み
民博周遊 「民族衣装を着る」「 探検」→参加型イベント
館外 「巡回ゼミナール」 「民博 」=展示と講演会を複合
↓
( )
館内 「夏休み子供ワークショップ」体験型モノづくり教室
資料を学校教材用として貸し出す
↓
「 」貸出専用教材キット
情報公開 標本資料・画像資料のインターネット公開
↓
理念が確立していないので、手探り状態。
(4)生涯学習とエデュケイターの養成
生涯学習の各種プログラム→多様な世代に対応する必要がある
↓各世代の要望・関心を調査する
要望に応じたコンテンツやプログラムを開発
学校教育 小中高でプログラムの内容が変わるのは当然
↓
博物館資料をどのように加工して市民や学生にわかりやすく説明するか
↓
専門的知識と経験が必要=( )という専門職員
日本ではミュージアムエデュケーターは少ない
(5)各種教育プログラム
1,ギャラリートークなどの展示解説とガイドブックの作成
2,参加型・体験学習
3,講演会・映画会など館内での開催
↓
館外へ
4,特別展や企画展の館外への巡回や移動博物館
5,学校教育への貸し出しよう教育キット、先生用・生徒用の使用マニュアル
6,博物館友の会活動の充実と事業展開
7,博物館情報の学校や社会への提供と公開
8,各種プログラムの実践とボランティア
9,評価委員会( )の確立
↓
展示・資料の利用について館外利用者の意見や評価を受ける
7,博物館におけるサービス
(1)サービス施設としての博物館
1992 米国博物館協会 21世紀の博物館のあり方について提言
膨大な資料と情報の蓄積による知的厳密性と学問的卓越性をさらに向上させつつその知的財産を広義の教育を通して、多様な市民に公正に提供するという公共サービスに力を入れることが必要
広意義の上で教育に力を入れる
↓
効果的な公共サービスの提供を図る=「 」
1996 英国 「博物館は市民や地域住民にとって「 」であり、博物館が社会的に必要不可欠な存在であり続けるためには、 動に力を入れ、公共サービス施設としての役割を強化しなければならない」
1999 日本『博物館白書』 問題点として
「社会的支持基盤が弱い」
「高齢者、障害者、外国人対応が不十分」など
↓
日本の博物館が公共サービスや社会奉仕施設として機能していない
(2)サービスとはなにか
1サービスの定義
「一方が他方に対して与える本質的に無形の活動や便益のことで、結果として何らの所有権ももたらさないもの」
「顧客に対して機能的、社会的、心理的便益を提供する可視的な属性と非可視的な属性の組み合わせのこと」
「特定の人の求める欲求を満たすために、人、モノ、カネ、情報、システムなどの経営資源を組み合わせて、独自の技術で一定の状況を作り出して、満足を創造する行為」
↓
利用者を満足させることが博物館の
特性
無形性 形がない
不可分性 生産と消費が同時に行われる
消滅性 保存できない
( 性)サービスを提供した個人と享受した個人によって評価が変わる
対象
以前
公共サービスの公正性→誰に対しても同じような( )なサービス
↓
利用者の満足を得られない=文化的ニーズや欲求を満たしていない
↓
( )対応が必要
ミュージアムマーケッティングの必要性
外的要因 利用者の社会階層 内的要因 利用者の態度
所得 価値観
教育 動機
年齢
家族構成
博物館の特性を考慮→ターゲットとなる利用者層を特定化してサービスの向上を図る
サービスの要素
可視的要素 プログラム 施設 職員
不可視的要素 イメージ プログラム名称
プログラム
利用者に提供される実際のサービス
基本的な構成要素
常設展、特別展示、展示ガイドシステム、ボランティア制度、講演会、ワークショップ、ミュージアムショップ、レストラン
↓
充実化を図る
プログラムの付随的要素
交通アクセス、駐車場の利便性、託児施設
博物館外でのサービス
資料貸出・出前博物館・移動博物館
アメリカ→アウトリーチプロジューサー→各種プログラムやミュージアムグッズの開発や博物館サービスの改善を行う
施設
展示場だけではなく、導入空間、周辺環境、ミュージアムショップ、レストラン、休憩室、ベビールームの充実
職員
「人はプログラムなり」職員採用、研修、監督をおこなう。
↓
ボランティアに至るまで意識を徹底させる
イメージ
「利用者が博物館のプログラムや施設、職員などに抱いている信頼感や印象の総和」
5,博物館に於けるサービスの技術
「 技術」
楽しみを創り出す文化的な仕掛けや博物館側と利用者側の相互に情報が交流すること
↓
博物館が持つ情報を正確に提供する→笑顔の重要性
「 技術」
優しい態度や言動など、おもてなしの心が大切
「 技術」
エデュケーション(教育)+ エンターテイメント(娯楽)
「おもてなしを通じて一人ひとりの持つ知識を刺激して、知恵を引き出し、ふくらませ育む」
↓
退屈させない 疲れさせない イメージをふくらませる
人々を興奮や快楽に引き込む要素に博物館が提供するインテリジェンス情報を加えることにより、情報創造(共感や感動)が生じる
知識優先の情報提供だけでなく、利用者にいかに興味をもたせるか、情報創造を行わせるかが重要
「接客技術」
博物館としての行き届いたマニュアルづくり研修が必要
利用者の安全誘導
展示解説
外国人対応
身体障害者・高齢者介護
広報活動
6,博物館におけるサービスの質
サービスの特性=「 」「消滅性」「変動性」→評価や管理が容易でない
↑
サービスを提供したり享受する個人によって変わる
サービス料金の設定
「 」→社会の利益を優先して無料で公開すべし
現実にはほとんどの博物館で入館料をとっている
↑
受益者負担の観点からサービス料金をとる
サービスの原価・需要・競争などの立場から設定する
利用者への説明が必要
欧米 無料のところが多い=寄付や補助金制度が整備されている
7,サービス支援体制
案内業務
警備
空調・清掃
サービスの現場に即応した工夫を行い、業務の円滑化を考えて、組織の指揮系統の単純化も必要
ボランティア
NPO組織との協力
8,デジタル・ミュージアムと博物館サービス
デジタル・ミュージアム
バーチャルミュージアム(仮想博物館)
サイバーミュージアム(サイバー空間博物館)
8ミュージアムマーケティング
(1)マーケティングとは
顧客の満足と利益
マーケティングとは
経済学「 と価値を生み出して他者と交換することによって個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経済上のプロセス」
↓
「顧客を満足させて を生み出すこと」
ニーズと欲求
ニーズ=人間が何かに対して欠乏を感じている状態
食べ物=生理的ニーズ
知識・情報=文化的ニーズ
欲求=人間のニーズが具体化されたもの
食べ物=生理的ニーズ→ラーメンを欲求する
カレーを欲求する
知識・情報=文化的ニーズ→書物
映画
博物館
大学
人間の欲求には際限がないが、 には限りがある
↓
予算の範囲内で最も高い価値と満足を選択する=費用対効果( ) ↓
消費者のニーズを見極め
良い商品を開発
適正な価格を設定 (マーケティング・ )
効果的なプロモーション
効率よく流通して供給
(2)非営利組織のマーケティング
アメリカ1960代から 利用者が減る一方でコストが増加
↓
組織の存続を図るためにマーケティングを重視
博物館 組織存続のためには資金が必要
↓
組織が有する資源(物・人・カネ・情報)を有効活用する必要がある。
ミュージアムマーケティング
ミュージアムマネージメント 重要
「社会の 」「社会の公共財産」として公共サービスに力を注ぐ
↓
社会に不可欠な施設であることをアピール
日本の博物館・美術館→廃館・休館に追い込まれている。
↓
日本の博物館が公共サービス施設や社会に奉仕する施設として機能していない
博物館利用者のニーズ
博物館利用者は自らのニーズや欲求を満たしてくれるベネフィット( )を求めている博物館利用者=文化消費者
博物館が提供している新しい情報や知識
↓
眠っている感動や驚きを発見
↓
新しい知的創造につなげる
低成長型経済の時代
成熟社会 物に対するニーズが充足している
↓
文化的なニーズや欲求が重視され始めた
ニーズや欲求の把握
良い の開発
効果的なプロモーション
効率よく利用者を満足させる
(3)マーケティング志向の重要性
従来の博物館=利用者のニーズを重要視していなかった。
博物館の機能は多様であり、利用者だけのために存在しているわけではないという考え方 ↓
学芸員の数が限られており、サービス支援体制が確立されていない
従来型
①組織のニーズを重視した内部志向
②利用者欲求に関わらないサービス提供
③すべての利用者に対するサービスを重視
④利用者人数の最大化を重視
⑤プロモーション重視
↓
①利用者のニーズを重視した外部志向
②利用者欲求の満足を図る事業志向
③特定の利用者に対するサービスを重視
④利用者満足の創出を重視
⑤多様なマーケティング手段の活用を重視
すべての入館者に普遍的なサービスの提供
↓
満足を得ることができない魅力のない施設
↓
マーケティングを導入して を把握
博物館資源を考慮して の利用者層を特定化
↓
サービスの質の向上
(4)マーケティングの計画と実践
マーケティングプロセス
マーケティングは一連の諸活動から成り立つことを認識
博物館を取り巻く外部環境に関する情報収集
↓
利用者ニーズの把握
↓ ( )
マーケティング目標の設定
↓
戦略と行動計画の策定
↓
評価と修正
1)マーケティング・インテリジェンス
マーケティングプロセスの出発点
外部環境の分析 「情報の収集と評価」=
ニーズ・アセスメント 「 」
↓
利用者の潜在的ニーズについての調査→どのようなベネフィットを得ようとしているか
2)マーケティング戦略の立案
マーケティング・インテリジェンス
↓
博物館の (mission)の明確化
マーケティング目標の設定
博物館の資源は限定されているので、ニーズアセスメントにもとづいてターゲットと なる利用者層を特定する
3)マーケティング・ミックス
製品・価格・マーケティングチャンネル・マーケティングコミュニケーションを組み合わせて利用者に最大限の便益を与える
「 」利用者に提供する財とサービス
価格 利用者が払う金額
「 」 財とサービスをターゲット層に到達させるための活動
マーケティングコミュニケーション ターゲット層に対して財やサービス、チャンネルに関する情報を的確に伝達すること
↓
「 」とも呼ばれる 広告・パブリシティ・インセンティブを含む
4)行動プログラムとマーケティング評価
行動プログラムの作成
↓
行動
必要に応じて諸活動の評価を行い、フィードバックして改善を進める
5)リレーションシップ・マーケティング
リレーションシップ・マーケティングとは
経済学「 との価値ある強力な関係を創造し、維持し、拡大するプロセスのこと」
↓
花や 近所の顔見知りを顧客のターゲットにし顧客の好きな花を記憶してご用聞きを行 い、顧客を満足させる
↓
一人ひとりの消費者と密接になり、長期的な関係をつくり、リピーターを確保する
博物館に於けるリレーションシップマーケティング
顧客の情報を収集して、生活に深く関与することで顧客一人ひとりに応じた情報とサービスを提供でき生涯にわたって になってもらう。
「来館者満足」=「 」を可能にする仕掛け作りが大切
↓
一人ひとりの知の成長サイクルに応じた情報とサービスの提供が不可欠
地域社会とのネットワーク 地域社会の資源を見直して知の成長プログラムに組み込む
↓
博物館と「 」とのリレーションシップがうまれる。
9,博物館における評価
ニューパブリックマネージメント
民間企業の経営手法に基づく
民営化・ ・エージェンシー化・PFI(民間資本の活用による公共事業)
↓
公的説明責任
行政改革=行政機構のスリム化
効率性( )・有効性( )・公平性・実施手続き・社会経済的変化への対応→明確化して客観的に分析評価
↓
事業評価システムの導入
国立博物館の外部評価
2001独立行政法人化が実施
( ) 国により定められた5年を期間として達成すべき業務運営に関する目標
中期計画 中期目標を達成するための国立博物館が作成した5年を期間とした計画
( ) 各年度の計画で文部大臣に届ける
中期計画
文化の一層の振興を図るため
①貴重な である文化財を良好な状態で後世に伝え、文化の継承をしていくこと
②文化を広く国民に紹介し文化の向上・発展につとめること
③我が国の「顔」として国際文化交流を促進すること
④ナショナルセンターとして国内外の博物館活動の充実に寄与すること
↓
収蔵品の充実
施設設備の整備充実
収集・保管・展示機能および調査・研究機能の向上を図る
人材養成・研修・国際交流や文化発信拠点としての機能を一層充実
↓
① の効率化
②国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上
③財政内容の改善
業務に対する重要事項を審議→役員会
国民に親しまれる博物館をめざして有識者で構成される運営委員会
中期目標期間に於ける評価と理事長への助言→
2002年の外部評価委員会
1,業務の効率化
施設の有効利用
コンサートなど各種イベントを積極的に企画開催したことは国民の親近感の醸成に結びつくものと思われ、今後は各イベントごとの採算性を考慮しつつ、各館の調整を活かして魅力ある文化活動の場づくりをさらにすすめることが望ましい
外部委託
博物館が一般庁舎とは異なる業務を行っていることから、どこまで外部に委託するのか、その境界を慎重に見定めながら、検討を進めることが望ましい。
職員の意識改革
本部を中心として各館でも独立行政法人の特性に沿った各種の研修が実施されている点は評価でき、今後はマーケットリサーチや新たな事業の遂行に必要な知識・技術の習得などさらなる研修に取り組むことがのぞましい
2,国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上
収集 奈良国立博物館で寄贈を受けたコレクション専用展示室にネームプレートを掲出したことは特記すべき成果と評価でき、今後とも国民の貴重な財産の散逸を防ぐという観点から、税制の優遇措置を積極的に紹介し、寄贈の増進に努めることが望ましい。
保管 東京国立博物館で紙質文化財の修理技術を持つ技術者3名を配置し、応急修理を迅速に実施する体制を整えたことは特記すべき取り組みと評価でき、今後も各館の施設・設備の実態を把握し、効率的な運用のなかで、作品の保管にすぐれて良好な環境を整えることがのぞましい。
公衆への観覧 ①3館とも保存に配慮した陳列替えや季節の取り合わせの展示を行いつつ、更に特集陳列などを数多く実施し、工夫のあとが見受けられる。
②自主企画展は3館とも積年の研究成果が結実した充実した展覧会であり、国立博物館の基礎体力を示した展覧会として評価に値する。しかし、奈良国立博物館で実施した「石山寺」点は学術的水準は高いが集客に結びつかないという従来からの課題を残した。この点は、国立博物館のみならず、博物館・美術館共通の課題であり、幅広く、分析・検証し、広く国民の関心に訴える努力が必要である。また、高度な学術的成果を維持し、その成果をどのようになパッケージに詰め提示するか、その企画力を醸成することも必要である。③京都国立博物館の「大レンブラント」展はその企画には賛否の意見が合ったが、国立博物館が我が国の文化を世界に発信することは当然として、他の文化圏の成熟した文化を我が国に紹介し、彼我の文化について国民に考える機会を与えることも重要な国際交流であったと考えられ、その意味において「大レンブラント」展は有意義であったと考えられる。これまでの守備範囲に固執せず国際的な文化交流の場としての国立博物館が事業の幅を広げることが必要と考えられる。
④博物館の楽しみを普段足を運ばない一般の人々にアピールするために魅力ある企画展の開催が必須条件と考えられる。その際に、外部研究者との協力関係も重要な役割と考えられる。
調査研究 東京国立博物館の「大日蓮展」と奈良国立博物館の「石山寺」展は、調査研究成果が展示に直結したものであり、高く評価できる。しかし、東京国立博物館では紀要の収録論文が1論文に過ぎず、しかも刊行が大幅に後れたことは深く反省を要する。紀要の在り方や編集方針を含め根本的な改善策を講ずると共に、集1日の研究日を確保するような余裕が将来的には博物館の内実を強くするという点についても検討を要する。
教育普及 ①小・中学校の無料化により入館が増えた機会をとらえ、小・中学生に特化した展示や教育プログラムの充実を図り、今後も有益な体験ができるように国立博物館の積極的な取り組みが必要である。・・・・・
博物館評価の多様性
誰が何をいつ評価するするかが多様である。
「博物館評価は のようなもの」
頭はライオン・胴は山羊・尾は蛇で正体がつかみにくい。
①一定の基準による審査
②設置者による点検
③ による評価
④改善・開発を前提とした検証
⑤専門家による質の評価
⑥利用者によるチェック
↓
博物館の社会的使命の不明確さがキメラのようなものと感じさせる
社会の共有財産である博物館はその使命を明確にして、どの程度どの使命を達成できたかという評価を受けなくてはならない。
博物館の評価
米国 が専任でおかれている。
日本ではいない。
社会的使命
基本理念の認識
↓
資料収集・保管・展示・教育・調査・研究について自己採点
運営の在り方など→外部の評価を受ける
ニーズや満足度の調査を行う
社会の公器として量の評価よりも質の評価が重要である。
10,博物館施設の運営と管理
建設
目的を検討する
何のためにつくるのか 単なる箱物をつくると意味がない
どのような内容でつくるのか
どういう使われ方をするのか
「公立博物館の設置及び運営に関する基準」第4条第1項
都道府県及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の設置する博物館には、次の表に掲げる事項に必要な施設及び設備を備えるものとする。
事項
施設及び設備
資料の保管
収蔵庫、技術室、作業室、 、消毒設備、集約収蔵設備等
資料の展示
展示室、準備室、視聴覚機器、展示用機器照明設備等
資料に関する集会その他の教育活動
集会室、教室、図書室、 、会議室、視聴覚機器、巡回展示用運搬自動車、教育研究用自動車、資料貸出用設備等
資料に関する調査及び研究
図書室、研究室、実験室、作業室、実験設備等
利用者の休憩及び安全
休憩室、救護室等
事務の管理
、宿直室等
動物園(自然系博物館のうち、生きた動物を扱う博物館で、その飼育する動物が六十五種以上のものをいう。以下同じ。)、植物園(自然系博物館のうち、生きた植物を扱う博物館で、その栽培する植物が千五百種以上のものをいう。以下同じ。)及び水族館(自然系博物館のうち、生きた水族を扱う博物館で、その飼育する水族が百五十種以上のものをいう。以下同じ。)には、第一項の表に掲げる施設及び設備のほか、当該博物館において、資料を常時育成し、必要な展示を行うことができるようにするため、次の表に掲げる施設及び設備を備えるものとする。
博物館の種類
必要な施設及び設備
動物園
動物飼育展示施設、仮収容施設、動物診療施設、検疫施設、調飼用施設、飼料庫、汚物・汚水・塵芥処理施設等
植物園
圃場、育種室、さく葉庫(おしばを保存するところ)、病理施設、園内特別植物管理施設等
水族館
展示水槽、放養及び飼養池、予備水槽、循環装置、治療施設、調飼用施設等
第五条
博物館(動物園、植物園及び水族館を除く。)の建物の延べ面積は、都道府県及び指定都市の設置する博物館にあつては六千平方メートルを、市(指定都市を除く。)町村の設置する博物館にあつては二千平方メートルをそれぞれ標準とする。
2
動物園、植物園及び水族館の施設の面積は、次の表に掲げる面積を標準とする。
博物館の種類
施設の面積
動物園
建物の延べ面積 二十平方メートルに平均同時利用者数を乗じて得た面積
植物園
敷地の面積 二十万平方メートル
水族館
敷地の面積 四千平方メートル
(備考) この表中「平均同時利用者数」は、次の算式により算定するものとする。((年間利用者数(又は年間利用者見込数)×1日利用者1人の平均利用時間数)/年間公開時間数)×1.5
博物館の設備
資料を長期にわたって保存・管理する
資料をよりよい環境で展示・一般公開する 博物館の施設として必要な条件
来館者に好印象と満足感をあたえる
必要な設備
①空調設備
②照明設備
③電気設備 照明・防災・防犯・情報通信・受電・変電・非常用電源・監視カメラ・電話交換機
④機械設備 給排水・換気・冷暖房・消火設備・エレベーター
⑤防災・防犯設備 火災報知器・煙感知器・スプリンクラー・レーダー・電子錠・モニターテレビなど
⑥サービス設備 エレベーター・エスカレーター・ロッカーなど
⑦弱者対策設備 専用エレベーター・専用トイレなど
⑧その他の関連設備 情報機器・映像機器など
資料の搬入
↓
収蔵庫へ それまで保管されてきた条件・環境が一点ずつ異なる
物別・地域別・材質別の資料をどのように保管するかの方針が大切
↓湿度・温度条件をまとめ空調設備とその規模を決定
材質別の24時間空調・恒温恒湿=ランニングコストを考慮
物理的変化
化学的変化 これらに注意
による害
給排水設備を収蔵庫から遠ざける
照明設備=退職防止用の蛍光灯
展示用→照明効果や演出効果を高めるため様々な照明器具が使われる
↓
照明位置の変更が容易・配線ダクト・ランプ交換などメンテナンスのしやすさなどが大切
老朽化によるトラブル→日常点検・予防措置・機械の更新計画が必要
メンテナンス
1設備・機械関係
メインテナンス→業者へ委託する場合が多い
①電気・機械などの施設設備関係業務
電気室・空調機械室・給排水設備などの運転・監視・点検
②展示場での警備を含む警備関係業務
防火・防災対応や鍵の授受・巡回警備・モニター監視・車や来館者の誘導・受付・郵便物の受付・夜間対応
③展示場の案内業務
観覧券の販売・改札・受付パンフレットの配布・展示の案内・利用者の質問・苦情
④展示機械類の運転・点検業務
映像機器類やコンピュータ関係の運転業務→指導点検・日常点検・トラブル対応
⑤清掃業務
定期的な清掃・ワックスがけガラスケースの清掃・庭木の手入れ
来館者に好感を持ってもらえるような研修・訓練が必要
2展示資料関係
国立民族学博物館 「展示場標本資料総合点検」毎年3ヶ月間おこなう
展示資料・グラフィックパネル・演示具・展示具・照明器具の点検清掃
=ガラスケース展示より親近感・臨場感があるがモノの破損・落下・盗難防止が必要=演示具の開発
5,危機管理
火災・停電・地震・水害・洪水・破損・盗難・来館者の急病
火災 その原因となるものをできる限り排除する
万一の火災の場合、初期消火=日頃からの訓練・消火設備の点検
盗難・破損
防犯施設の設置・警備を心がける 保険を掛ける
犯罪 大がかりな犯罪・いたずらなど
破損 不注意によるガラスなどの破損 故意による破損
トラブル発生後の対応も必要→マニュアルが必要
天災
予測不可能 常に起こりうると考えて対応
1995年1月17日の阪神淡路大震災
国立民族学博物館の例
①スプリンクラーの破損 10トン近い水による展示場・地下の準備室におかれた資料の汚染
②ガラスケースの破損・散乱
③ダクト・設備配管等の破損
④天井からの落下物・転倒による資料の破損
露出展示であったため資料が固定されていて被害を最小限にくいとめられた
パネル、展示台も固定されていた。
建築・展示・資料に作業を分担して点検修復復旧にあたった。
問題点
①ガラスケースの破損・散乱
②耐震ケース・耐震対策の必要性
③ケース・パネルなど展示を演示する演示具の素材安全性
④重心を低くする工夫の必要性
⑤テグス等による固定化の徹底
⑥来館者の誘導
博物館はあらゆる災害や事件、事故などに対しても資料を安全に保管し、それらを次の世代に伝えていくことを使命として期待されている。人の安全確保を優先としながらもいかなる事態にも対応できるように危機に対する意識を常に持ちマニュアルづくりや体制づくりが必要である。
11 博物館に於ける情報の意義
1,情報と博物館
資料と情報
博物館で最も重要な物=( )
資料には( )がある→情報のない資料はない
↓
資料と情報はセットになって( )となりうる。
博物館に於ける情報化
第1段階
資料目録の情報化=博物館自身が資料の全容を把握し、利用者に提供する
台帳、カード、ファイルなどをコンピュータに替えた→「 」
第2段階
資料目録の情報にさまざまな研究成果の情報を加え活用
研究成果の情報を付与して研究成果そのものを情報化→情報が資料と並ぶ資産となった
マルチメディア
情報化以前 録音テープ・写真など映像音響資料=研究用のツールとして活用
↓
それ自体が自立した存在ではなかった
現在 映像音響資料は博物館の( )ととらえ、整理・保存
↓
マルチメディアが情報を資料として取り扱うことを可能にした。
(記録された内容に価値がある)
2,研究成果の情報
情報の蓄積
博物館の情報でもっとも重要=研究成果の情報→これを蓄積することが博物館の仕事
調査=資料と情報の収集 資料収集で集められた資料=一次資料
↓
調査で集められた情報=( )
整理=集められた資料と情報を体系化させて博物館の資産として蓄積させる作業
情報の体系化
情報の形 手書き資料 多様な形態の資料を利用者のために体系化
印刷物 ↓
資料の整理
音響資料
資料の整理は情報の整理の入り口→さまざまな形へ展開
どのような基準で選択するか
どのような でつくるか 蓄積のための基準が必要
どのように分類するか
情報の質
情報の質は二つの要素で決まる
の質
の質
技術の質とは
博物館に必要な技術
写真撮影 保存 出版 展示=特別な技術 学芸員はこれらの技術の内
文章を書く 資料を整理する=基本的な技術 いくつかの技術を習得した
音声の録音・編集 ビデオの撮影・編集=特殊な技術 専門家
↓
一人ですべてのことはできない
↓
学芸員の が必要
3,資産としての情報
資料=博物館の資産
情報=しだいに と見なされるようになってきた
むかし 映像の価値は資料に付随したもの=独立していない
現在 映像自体に価値がある
↓
情報関連産業の多様化による情報需要の拡大が原因
情報関連業界・映像関連業界による商品としての情報の奪い合い
↓
博物館の資料を撮影した写真などはそれ自体が情報として取り引きされる
撮影する権利も取引の対象
博物館→収益性が問題となっている→情報による収益も加える
情報は研究の成果であり、博物館が持つ技術の反映
経営のための情報
来館者に関する情報 個人や団体の来館者数 分析して広報・催し物・展示
月や週単位の来館者数 などに活用
アンケート
情報の提供先は最終的には個人である→博物館サービスは である
12, 博物館活動の情報化
情報化
情報化する( )の統一
体系の( )
情報の価値基準を考える=どの情報が重要かを考える
情報の素材→どの情報が大切か目的に合わせて選ぶ→完成品をつくる(展示解説・図録)(一次情報) ( )
情報化の経費
導入のために費用 情報化の目的・範囲・規模などで決まる
維持のための費用
設備更新のための費用
↓
情報化は永久に続くことを前提に計画
三ヶ月から半年に一度はメディアが衰退していく
↓
設備は2~3年しか使えない→情報機器は( )
情報をつくる経費
人件費
情報を加工する経費
文字資料 データベース用に情報を整理し入力し、校正
画像・音声 整理し、デジタル化
↓
目的に合わせて情報を編集する
情報の収集
調査
資料の収集=調査が伴う→調査は資料にまつわる情報の収集である
集められた情報の内容によって博物館資料としての価値を左右する
芸能・技術など無形文化財・無形文化資産の調査→資料収集とは別の調査
( ・音声の記録)
情報収集のためのメディア
フィールドノート・写真・録音テープ・ビデオテープ→研究目的・記録対象によって選択 情報化の質→メディアの選択と使いこなす技術に負うところが大きい
プレゼンテーションのための記録
論文に掲載する写真・展示のための写真など記録の大きな目的
情報化の前提=( )
↓
公開のための情報は博物館の商品 質の高い情報を収集する 信頼性が高いことが前提
情報の整理
情報の素材
メディアに記録された情報=素材=未整理
情報の整理=情報の素材を体系化して共有できる形にする
↓
誰でもが使えるように情報を加工する
整理のための道具・準備が必要
1)道具
以前 カード・ファイル・本・映像音響資料などそれぞれ異なるメディアに保存
現在 マルチメディア・データベースが使われる
↓
形式・内容が異なるデータを1つのメディアに蓄積・体系化
2)情報化の基準
・博物館として何をどのように情報化するか
情報化するための目的
・情報を使う人を想定する
研究者向け・博物館関係者のみ・一般公開
・コンピュータ処理しやすい情報に加工する
検索・選択・並べる→用語・番号・記号の統一
情報の保存
これまで 紙による保存
↓
による保存
磁気ディスク・光磁気ディスク・フロッピーディスク・CD-ROM・DVDなど
新しいメディアが登場しては消えていく
↓ デジタルはコピーを繰り返しても劣化しない。
新しいメディアは何年保存できるか知られていない(公開されていない)
メディアの急激な変化によって読みとれなくなるものが出てくる
↓
情報の保存
1,永遠にデジタル情報を新しいメディアに し続けなくてはならない
2,メディアの動向を把握して次の を選択しなくてはならない
↓
常に新しい設備を導入して行かなくてはならないので、 がかかる
13,情報の展示と情報サービス
ネームプレート・解説パネル→情報を展示する手段
1970後半 映像機器の発達→ビデオによる展示解説=( )による展示
1990 マルチメディア機器による展示解説=動画・制止画・文字など=利用者が選択できる→展示解説に新しい可能性
↓
が必要な解説を選ぶ
言語の違い・世代の違いを越えて解説できる
映像・音声の利用による( )展示
「 」とう展示本来の目的を妨げているという意見もある
展示をよりおもしろくし、学習効果を高めるという意見もある
↓
資料と情報をいかに見せるかが重要
情報を提供する施設=学習室・情報コーナーなど→展示と隔離している
↓
情報を展示と融合することが大切
情報サービス
情報サービスの原点=学芸員が来館者の質問に答える
↓
個人に対する情報サービス (1対 )のサービス
印刷物を使った情報サービス=不特定多数に対するサービス パンフレット・広報誌・紀要など 1対多のサビース
インターネット 1対1 (1対 )の形態を同時に実現する手段
メール ホームページ
・ホームページ 待つ姿勢 ショウウインドウを開けて待つようなもの
↓
一度アクセスした利用者をリピーターとすることが大切
↓
魅力的なホームページづくり=新しい情報を提供する
・データベースの目的=情報の公開→ホームページとデータベースを連携させる
情報の共有化
必要な情報を公開
いつでも利用 インターネットが情報の共有化を可能にした
誰でも情報を発信
誰でも利用
情報の収集
博物館の情報サービス→結果のみを提供してきた=一方通行の情報提供
↓
インターネットを使って情報を収集
必要な情報を収集し共有化→研究や情報化を高度なレベルに引き上げる
情報の未来像
ネットワーク
博物館間のネットワークの構築
研究にも情報サービスにも重要
バリアフリー
文字の他にも映像や音声をあつかうことが可能→一つの情報を別の形に加工して提供
情報を特定の相手に送ることが可能→相手の事情に合わせて情報を送る